細田守監督『バケモノの子』から”学ぶ”こと (2)※ネタバレ含む

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(画像は公式サイトより)

[前回からつづき]

さて、前回(1)

「”技”を伝授されるということは、『型』を学ぶのみではなくその技の『心』も知らねばならない」

ということを述べたが、この『バケモノの子』では、その『心』=『精神』の伝授をいかに行うのか、ということについては、実に映像的に表現されている。
(ここでその過程を説明すると観る楽しみもなくなっちゃうんで省きますが。)

『技』は『型』を見せ『言葉』をもって説明することで伝えることができる。

では、その”技の『精神』”はどのように伝達していくのか。

少なくとも、この作品において細田監督は、そこにひとつの回答を出している。

“『心』は、結局のところ、『心』でしか伝えることはできない”

「師匠と弟子」という関係も、そこには精神的な強いつながりができて初めて成立する。
これは、ただ教え教わるという「教師と生徒」の関係とは極めて異なった繋がりだろう。
そして、「師匠と弟子」という関係が成立して初めて、『心技体』の伝授は完成できる。

いや、逆に『心技体』の伝授によって、初めて師弟という繋がりに成るのかもしれない。

*   *   *

『バケモノの子』を観た最初の感想は、
「うわ、細田監督、今回は自分の描きたいビジュアルを今回ぜんぶブっ込んだな」ってことでした。
だって、10代の男女のジュヴナイルな関係と、渋谷という現実の街極めてリアルな描写=『時をかける少女』、
大群衆のモブと、その中心で行われる試合=『サマーウォーズ』、
異形の者を動かすアニメーシヨン表現=『おおかみこどもの雨と雪』
といったように、これまでの作品で監督が描いてきた「やりたいこと」「描きたいもの」をすべて投入していたと思うわけで。

ただ、”全部入り”は満腹になっても、それぞれの個々の味をじっくり楽しめるほうが、満足できるかもしれないよね。

 

■映画『バケモノの子』公式サイト
http://www.bakemono-no-ko.jp/


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